暫定税率復活に反対する心理


政界混迷で注目浴びる「ネット政談」 人気ブロガー「やってられないわ」断筆宣言
 衆院山口2区補選での惨敗を経て、政府・与党は歳入関連法の衆院再議決に踏み切った。その直後の各種世論調査では福田内閣の支持率がさらに低下して20%前後となっており、政党支持率は民主が自民を上回る傾向が顕著となった。

 内閣支持率が3割を切ると危険水域に入ると解説されていたのが、つい1カ月ほど前。危険水域どころか、カウントダウンが始まりそうな気配さえする。

 小泉純一郎元首相は再議決の日、衆院本会議場で「まあ、総選挙をやったら自民党は100議席は減らすだろうな!」と叫んだそうだが、福田首相がいくら解散・総選挙を先延ばししても、政権交代の可否と是非をめぐる論議が活発化していくことは止めようもないだろう。

 その「是非」を考察してきた雪斎氏は、民主党の日銀総裁・副総裁人事をめぐる対応について「次から次から『別の理由』を持ち出しては、不同意にしている」と喝破し、第二次世界大戦中の日本軍がガダルカナル作戦やインパール作戦で「兵力の逐次投入」の愚行を犯したことになぞらえて「不同意理由の逐次投入」と指摘していた。

 ぐっちーさんも、「政治のためには中央銀行および世界経済が犠牲になってもしかたない、というのが民主党の考え方だということだけはよくわかった」と、代案を示さない民主党を厳しく批判している。

 かんべえさんは、ねじれ現象の下での国会の混乱について「『民主主義のコストだ』『二大政党制への生みの苦しみだ』などという人もいますけど、正直、あほらしくてついていけませんな」。突き放した言い方だが、国民の多数は同様の見方をしているのではないか。

 一方、福田内閣や自民党政治に厳しい視線を向けるクレイジーパパさん(http://shopworld.cocolog−nifty.com/blog/)は、「内閣総辞職、総裁選で国民の関心をひきつけ、首相の顔をすげ替えて総選挙にのめば自民党は不死鳥のごとく復活する。そのように親分衆が考えているとしたら、時代錯誤もはなはだしい」と、かなり先読みしている。

 人気ブロガーのことはどうでもいいが、あり得る意見がコンパクトにまとまっているので、この記事を利用することで、現在・今後の政局について、自分の見方を示したい。

 確かに、民主党のやり方は幼稚である。幼稚も幼稚、こんな幼稚なやり方を押し通そうとする民主党に、政権運営能力があるのか?という疑問は、消えることがない。

 しかし、なんつーか、非常に歯切れの悪い言い方になってしまうんだけれど、「民主党は幼稚だ!」と批判する気力も起きないんだな(積極的に持ち上げるつもりもないけど)。それは、対極の自民党も、同じくらい、いやそれ以上にダメ過ぎるので、「この与党にして、この野党」という呆れた感想しか持てなくなっているのですな。

 このヤキモキした気分の出所をもう少し分析してみよう。

 民主党のやり方の幼稚な例としては、例えば、以下のようなことがある。
  ・日銀総裁の件
  ・ガソリン等の暫定税率の件

 これらを単独で見るならば、確かに民主党の対応はメタメタであり、自民党のほうに利がある。「政治のためには中央銀行および世界経済が犠牲になってもしかたない、というのが民主党の考え方だということだけはよくわかった」という意見は当然である。

 しかし、不思議なことに、この当然の意見をせせら笑う自分がいるのである。「中央銀行および世界経済」とやらが、そんなに大事なの?www 一度、「犠牲」にしてみたいもんだwww。どこまで影響があるものなのか、どこまで政府が困るものなのか、一度、この目で見てみたいwww。

 極めて不謹慎であることは分かっている。「世界経済」がダメになったら、自分だけでなく世界中に影響があるのも分かっている。にも関わらず、何故、こんな気持ちになるのだろうか。

 まず一つには、「どうせ、落着くところに落着くんだろうから、タカをくくって、無責任なことを言い放っている」ということがある。まぁ、本当に破局が目の前にあったら、上のようなことは言えないよね。

 でも、それだけぢゃない。いくらタカをくくっていたからって、上のような感想は、かなり厭世的な気分になってないと、持てるものではない。普段の私だったら、民主党を批判したに違いないのだ。

 結局、次のようなことではないかと思う。

 この混乱を招いたのは誰か。それは直接的には、民主党である(新総裁の提案の度、訳の分からぬイチャモンをつけているのだから)。しかし、本質的には自民党に責任がありはしないか。

 道路にしろ、年金にしろ、放漫財政で、バランスシートを無駄に拡大して、その割には、そこからのリターンが得られない(かもしれない)のに失望した国民が、前回の参議院選で自民党を第一党の座から引きずり降ろした。その結果、日銀人事に必要な参議院の同意が得られずに、今回の混乱が起こっている。

 結局、これまでの自民党の失政に不満が溜まっているのだ。だから、いくら民主がメタメタであっても、自民党の肩は持てないのである。確かに民主は駄々っ子だが、それに対して、いかにも自民党が大人の政党であるかのように扱うのが、面白くないのだ。日本を今日の状態にしたのは自民党に第一の責任があるのに、民主党の駄々っ子ぶりに話が転化・矮小化されるのは、日本のためにならない。

 ということで、民主もダメだが、自民はもっとダメ。どうせ、誰がやっても国民の生活が上向くことは無いんだから、(影響が限定的である限りは)いくらでも混乱すればいいだろ。少しは痛い目を合わせないと、などと思ってしまふのである。

◇          ◇


 暫定税率の件も然りである。確かに自民党の言う通り、財政に穴が空くことは、かなりヤバいことである。でも、次のような悪魔の囁きを止めることができない。

 「どうせ、財政に穴が空いたところで、影響する人は一部なんでしょ? 実際に、穴を空けてみれば、具体的に、どういう影響があるのか検証できていいんじゃない?」

 おそらくは、暫定税率で集めた金の使い道には、緊急性の低い道路等もかなり含まれている筈である。これらを、是が非でも今年中に着工する理由は、

  1. もう決めてしまったことだから、途中で取りやめにすると、多大な影響(特に建築会社と、財源で豪遊している人達)がある。

  2. 一度、取りやめを認めると、恒久的に取りやめとなる可能性が出てきて、自分のやりたい事業がやれなくなる。


などである。

 どちらもその通りである。暫定税率の復活で、多くの自治体の長は、安堵のあまり、涙がちょちょぎれるほどであろう。

 しかし、多くの世論調査では、過半数が「暫定税率にノー」である。暫定税率を廃止したからといって、そんなに生活が向上するわけでもない(多くの家庭では、月数千円レベルの節約に過ぎないであろう)。暫定税率廃止には混乱が伴うことも、多くの自治体の長が不安を抱えていることも、国民は知っている。

 にも関わらず、最終的には、アンケートの「暫定税率廃止」に賛成するのだ。これは、「税金は安いほうがいいから」という、単純な問題ではあるまい。

 道路建設の問題は道半ばである。小泉政権でも、建設費用の削減は達成したが、道路の要不要の見直しは(最終的には)されていない(筈)。それどころか、財源の運用が「マッサージチェア」など、かなり放漫になされている事実も明らかになった(※下記参照)
 ※マッサージチェアそれ自体の代金は微々たるものなので、これに怒る国民を「感情的」とする向きもあろう。しかし、ゴキブリが一匹いたら、その家には他に30匹いるものと認識せねばならぬ。マッサージチェアの背後に、財政に対する放漫な意識を読み取らないほうが、どうかしていると私は思う。借金に苦しんでいる人が、高価なステーキを食べていても「たかが数千円のことだから」で済ませられるわけがない。「そういう意識だから借金がなくならないのだ!」と叱りとばすのが当然であろう。


 にも関わらず、この放漫な運営や意識に対し、充分な検討がなされぬまま、再可決で暫定税率は復活した。福田首相は、近い将来に、道路の一般財源化をを打ち出しているが、この期に及んでも、自民党内の道路族は、反対の活動をしている。多くの国民にとって、今の与党は「吸血コウモリ」のように捉えているであろう。

 こういう状態だから、暫定税率に無条件に賛成する人は少ないし、私のように、「一度廃止してみて、その影響を検証してみよう」と考える人間がいてもおかしくない。こんなに自治体の長が困っているのに、暫定税率の復活に賛成者が少ないのは、有権者が目先のお金に釣られているからではない。政府に、お金を使い方を見直させるための、確信犯的な意識があるのだ。今回は3分の2特権で、暫定税率は復活したが、こんなことが可能なのは、長くても来年までである。


2008年05月05日(月) | 23:41:58 | トラックバック(1) | 政治

「総裁選」「代表選」考

 新首相に福田氏が選ばれたが、歓迎するでもなく、悲観するでもなく。誰でもいいから、まずは国会を正常な状態に戻してくれ、話はそれからだ、というのが、国民の多数意見ではないか、と思う。

 前回書いたように、民主党は、硬直的な国会運営ばかりしていると、おそらく国民からの支持を失う。ただ、自民の側も「民主は子供だから」みたいにタカをくくって、事を急ぐと、やはり痛い目に遭う(実際、参議院では負けた)。

 自民党は、参議院では少数与党になってしまったが、与党は与党である。与党らしい、「度量の大きさ」とか「大人の対応」などを見せることが、支持の回復につながる(その意味では、年明けから選挙前にかけての安倍体制は、最悪であった)。

 また、麻生氏も敗れたが、善戦はした。敗北のコメントもノーサイド精神溢れた爽やかなものであった(実際、腹でどう思っているかは知らないが)。福田氏は、次の人事で、何らかの形で麻生氏を重用することになるのであろう。



 ま、それはともかく、今日話したいのは、福田新総裁のことではない。

 今総裁選では、両候補のパフォーマンスが入り乱れた。街頭演説をしてみたり、道路をうねり歩いて、屋台で売っている名物をおいしそうに食べてみたり。ついこの間、選挙で大惨敗したのが嘘のような盛り上がりである。

 自民党の総裁は、自民党内部のものでしかないのに、何故、両候補は、わざわざ国民向けにパフォを繰り返すのか?

 自民党が注目を浴びていることが面白くないテレビ出演者やblogなどでは、「一般国民には投票権が無いのだから、そんなの無意味だ」と言っている。もし両候補が、活動を党内部に閉じていたら、どうせ「閉鎖的だ」などと言うのだろう。

 ということで、自民党はどちらにせよ非難されるわけだが、それならば、閉鎖的なよりは、開放的なほうがずっといい。その理由。自民党側の観点からいえば、開放的なことに対する批判は、上で述べたように、「自民が注目を浴びていることが面白くない人」に大体限られるが、閉鎖的なことに対する批判は、国民全体からなされるからだ。また、国民の側からしても、結局は全国民の指導者になるわけだから、投票の経緯がよく見えるほうが望ましい。


 勿論、全てが開放的だったというつもりはない。両候補は、議員票の取り付けのために、地味に動いていた。各地方も予備投票無しで投票先を決める、なんてこともしていた。しかし、それらは逐一報道されたし、派閥が議員に対し投票先を押し付けるなんてこともなかった(福田、麻生両候補の推薦人を出している派閥が4つもある⇒ソース)。

 大体、支持を取り付けようと各議員に御願いするのは、選挙が選挙として機能している限り、当然の行動であり、むしろ、そういう活動の無い選挙のほうこそ、事前に当選者が決まっているなど、危険な要素が疑われる。また、地方幹部が投票先を会議室で決めるのは頂けないにしても、各地方が独自の考えで投票先を決めたことは、ある有力者の意向が広範囲に及んでいない、という意味では良いことである。

 こうまで、今回の総裁選を持ち上げてしまったのは、角栄が裏で総裁選を牛耳ったり、中曽根が竹下を後継指名したり、会議室の中で森が決定したり、なんて記憶があるからだ。それでも前二者は既に過去のことであるが、森内閣の支持率の低迷はまだ記憶に新しいところである。森首相は、神の国発言ばかりが強調されるが、支持率低迷の真の要因は「密室で決まった」というところに求めらるべきだと思う。自民党は安倍内閣の他、森内閣の再来も非常に恐れているので、密室での決定は絶対にNGで、オープンな形で、総裁選を行う必要があったのだ。

 で、こうやって総裁選が盛り上がった後、新総裁が決定する。新総裁も、力及ばず敗れた人も、お互いの健闘を称え合い、その後、新総裁の下に党が結束する。これほど、国民に対して良い印象を与えられる事柄も珍しい。自民党員しか選挙権の無い総裁選であるが、総裁選をオープンな形にすることは、自民党員以外からも評価されるのだ。

 以上は、自民党全体の問題であったが、個々の候補者にも、総裁選を行うならば、議員や党員にばかり目を向けるよりも、国民全体に向かって発信するほうが、結局は、票が取れる、との目算がある。

 まず、自民党員は非常に数が多いから、どっかのホールに党員を集めて講演なんかやるよりも、街頭演説をして、テレビに映してもらったほうが、ずっと効率がいい。

 また、今でこそ、自民の支持率は落ち込んでいるが、基本的には、日本で最も支持されている政党なのだから、「国民多数派の意見」と「一般自民党員の意見」は、かなり重なる部分がある。国民から支持を得られる人ほど、自民党員からの支持も得られるわけである。

 そして、各議員も、国民からの支持率をうかがいながら、自らの投票先を決める傾向にある。「国民から支持されている人がなるべきだ」という人もいるだろうし、自らの出世・保身を考えて、支持率の高い候補に入れるという人もいるだろう。国民の支持動向を全く考慮しない人もいるのだろうが、トータルでいえば、国民からの支持が高ければ、それだけ議員票でも有利になることは間違いない。小泉総裁が誕生した経緯もそうだったわけで。

 だから、両候補は、党内に閉じた活動を行う傍ら、国民へのパフォーマンスも重視したわけだ。麻生陣営は、議員票で不利だから、当然、上記の理由で国民へのパフォーマンスに熱が入る。しかし、福田陣営も、これを黙ってみているわけにはいかない。麻生氏が万単位の聴衆を前に熱弁をふるっているとき、福田氏がタカを括ってふんぞりかえっていたらどうだったろうか。

 おそらく、国民からのイメージは悪くなり、その影響で議員票/地方票は減少、落選していた可能性が高い。議員票を繋ぎ止める意味でも、福田氏もパフォーマンスをする必要はあったのだ。パフォの力自体は麻生氏のほうが上手かったが、そのことよりも、パフォをした、という事実が大切であった。

 なんか、色々書いてしまったが、要するに言いたいのは、「総裁選はオープンな形にすることが国民からも望まれており、それが自民党のためにもなる」ということ、「各候補にとっても、国民に露出するほうが、結局は党員や議員からの支持も得られる」ということの二点である。





 党の代表者の名称には、総裁、代表、党首、そして委員長(正式には代表者ではないが、事実上の代表者といってよい)などがあるが、実際には、自民党の「総裁選」と、民主党の「代表選」しか行われていない。公明党、社民党、共産党が、党員や議員からの「代表選」「党首選」「委員長選」などを行った、という話はトンと聞かない(無投票再選はあるけれども)。おそらく国民新党や新党日本が選挙を行うことも無いだろう。何故、代表選挙をしないのか。

 それは、小政党には、代表選挙をするだけの力も無いし、選挙をしなくても国民からの批判は受けないからである。

 代表者を選挙で選ぶ、というのは、思った以上にエネルギーのいることである。あなたの会社の社長は、選挙で選ばれていますか? 大抵は、役員が密室で決めた後、株主総会で拍手して本決まり、とか、そんな感じでしょう。私がこれまで経験した合唱団も、団長を選挙で決めたことは、高校の時の音楽部以外、全くない。

 選挙をやれば、団体内に対立を作り出してしまったり、或いは力量ある人が一人しかいなくて選挙のしようがなかったり。彼らを「民主的ではない」と貶すのは簡単だが、代表者を選挙で決めているなんて団体は、(政党に限らず)非常に少ないのが現状だ。逆にいえば、代表者を選挙で決める団体というのは、団体として非常に力量があるということである。政党でいえば、自民党と民主党か。

 自民党は「現在、国民を代表する政党」、民主党は「将来国民を代表する可能性のある政党」だから、代表者を、国民に見える形でオープンに決定するのは義務といってよい。密室で総裁決めてしまったり、一度選挙で決まった代表を党内のクーデターで引き摺り下ろすなんてことは、国民に対しての義務を放棄したものであろう。

 一方、小政党の場合は、代表者の決定が民主的でなくとも、誰も文句を言わない。創価学会員、護憲主義者、共産主義者、郵政造反議員支持者のためのマニアックな政党であり、「国民を代表する政党」になる可能性はゼロに近いわけだから、そんな党に文句を言ったところで始まらないのである。

 しかし、そのように甘やかされている分、彼らには「代表選挙で国民にアピールする機会」が無い。それはしょうがない。実際、それだけの力量が無いんだから。仮に代表選をしたところで、小政党に国の命運が左右されるわけでもないから、有権者の関心は極めて低いであろう。

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2007年09月23日(日) | 21:43:03 | トラックバック(0) | 政治

特措法論議で、民主党は「責任政党」へ脱皮できるか?

 これまで私は自民(ていうか安倍首相)に超厳しいことを書いてきたが、選挙も終わったし、安倍首相は辞める意向だしで、既に一段落ついた。この前の選挙では民主に入れたものの、別に私は民主支持者ではないから、いつまでも民主を甘やかす道理も無いと考える。

 そこで、今日は民主党の話をしよう。

 今後の、民主党の注目は「テロ対策特別措置法」関連だ。「え?それって自民党側の問題でないの?」と思う人もいるだろうが、そうではない。自民党よりも、民主党の対応のほうが注目なのだ。

 とはいえ、私は、次の産経主張にあるような意味で、民主党に踏み絵を迫っているのではない。


【主張】テロ特措法 国益考え責任政党の道を
 日米同盟や日本の国際的信用など、国益を考えた対応をとれないようでは、参院選で民主党を勝たせた有権者の多くが「やはり政権は任せられない」と見放すに違いない。

 産経は、「責任政党なら特措法延長に賛成すべき」と、結論から逆算してモノを書くから胡散臭いのである。「責任政党たること」と「その政策」は、関連性はあるものの、基本的には別個に考えるべき事柄である。「特措法延長に反対しつつ、責任政党として振舞う道」もある可能性もある。ていうか、民主党は、そのような道を歩むしか、選択肢は無い。

 つまり、冒頭に述べた注目点とは、「特措法延長に反対しつつ、責任政党として振舞う」ということを、如何に民主党がこなすか、なのである。

 しかし、このことの困難さは、想像に難くない。「責任政党」とは何か、様々な考えがあろうが、「反対のための反対をする」とか、「言っていることが一貫しない」とか、「党内の意見がまとまらない」とか、「審議拒否をする」とか、「採決を集団欠席」とかが、「責任ある」と見なされないことは、まず確実である。

 そこで民主党だが、まず、党内の意見がまとまっていない。前原前代表が延長に賛成っぽいのは言うまでもないが、それよりも心配なのは、「反対するにも、どのようなスタンスで反対するのか」という点が、不明瞭な点だ。

 小沢代表は「特措法は、国連決議の裏付けが無いから、延長は論外」という原理主義的な姿勢である。しかし、この前の報道2001に出演した鳩山氏は、責任政党を意識してか、柔軟な姿勢を示したのである。しかし、この喰い違いは、報道2001の他出演者に突っ込まれ、鳩山氏は全くタジタジであった。

 御存知の通り、民主党は全議員にテレビ自粛令を出している。

民主党、全議員にテレビ自粛令
 文書は「政局が揺れ動いているが、民主党の政治姿勢や政策方針にはなんら影響を与えない」とし、「メディア対応は妨げないが、政局に関することは小沢代表にお任せ頂き、政局評論などのご発言は慎まれるよう」と要請している。

 勿論、「延長の賛否」は政策の話だが、今後どう審議を進めていくかは、政局の話である。ましてや、今後、論議内容よりも政局主導で事は進んでいくだろうから、尚更、民主議員は、気楽な発言は難しくなる。

 かくの如き「議員のテレビ自粛令」の下、鳩山氏がテレビ出演したら、他の出演者から、幹部同士でのスタンスの違いを見抜かれてしまったわけだ。「こりゃダメだ」と思ったね。賛否以前の問題だよ。これから議論するのかもしれないが、あと一ヶ月半しか無いわけで。

 また、具合の悪いことに、どこの調査を見ても、延長に賛成が、反対を上回ってしまっている。

合同世論調査 海自補給、半数近く賛成
 今回の合同世論調査では、海上自衛隊によるインド洋での補給活動継続に賛成する意見が48・7%を占め、反対の39・1%を大きく上回った。前回調査では、11月1日で期限切れとなるテロ対策特別措置法の延長反対が54・6%と、賛成を約20ポイント上回っていた。臨時国会最大の焦点として注目されたことや安倍晋三首相が辞任理由として挙げたことなどから、国民の理解が深まったとみられる。
毎日新聞世論調査:海自給油継続、賛成49%・反対42%
給油継続、賛成・容認が半数=反対は35%−時事世論調査
 時事通信社が16日まとめた世論調査結果によると、海上自衛隊のインド洋での給油活動の根拠法であるテロ対策特別措置法について「延長すべきだ」とする人は13.0%で、「延長はやむを得ない」36.1%と合わせた賛成・容認派が半数近くに達した。「延長に反対」は35.3%。
 賛成・容認派にその理由をたずねたところ、延長しなかった場合の「日米関係の悪化」を懸念する意見が36.8%で最も多く、「国際社会の要請だから」が35.7%だった。「海自の活動を支持している」とした人は4.8%にとどまった。
 一方、反対の理由は、海自の活動が「国連決議に基づくものではない」ことを指摘する人が27.8%、海自の派遣に「憲法上の疑義があるから」が26.1%、活動実態や費用などの「情報公開が不十分だから」が18.8%だった。 

 賛成が多数とて、時事にあるように、多くは「容認」に過ぎないから、自民とて油断は禁物である。しかし全体的には、「延長反対」が世論だと思い込んでいたであろう民主のほうに厳しい結果である。しかも、「国連決議に基づくものではない」を挙げる人は、小沢代表が口を酸っぱくして言っているにも関わらず、27.8%ほど。国連決議云々は、保守系議員にも幅広く反対を呼びかけやすくはあるが、その分、反対理由としては抽象的でプライオリティが低いのである。だから、今後、この理由により、延長反対の世論が盛り上がることはまず無いと思う。

 長々と書いてきたが、要するに言いたいことは、民主は、反対で党がまとまるために、相当な苦労をしている、ということ。党がまとまることさえ一苦労なのに、「反対のための反対をしない」とか、「言っていることが一貫する」とか、責任政党としての行動を取れるのだろうか? 甚だ疑問である。

 一方、自民のほうは、話が楽だ(誰が総裁になっても)。党内は既に特措法延長すべしでまとまっているから(仮に反対者がいても掻き消される)、あとは国民への説明を行い、野党と話合いを求め、それがまとまらないなら、3分の2で再可決か、あるいは次善の策か、という点を考えるだけ。綱渡りの政権運営とはなろうが、方向性は明確である。

 自民は、民主に対して、次のような揺さぶりをかけているが、これも方向性が明確だからこそ。

アフガン決議案:民主の主張を逆手…政府が働きかけ
 アフガニスタンでの活動にかかわる国連決議案に日本などへの謝意が盛り込まれたのは、11月1日で期限が切れる海上自衛隊の給油活動(インド洋)を継続させる材料を得たい日本政府の働きかけがあった。活動に反対している民主党が、その根拠に「国連決議がない」を挙げているのを逆手に取った動きで、政府・与党は決議を利用して世論を喚起しつつ、民主党より優位に立とうとしている。
(中略)
 民主党は、国連決議案について「我々の考えを変えるほどのものではない」(直嶋正行政調会長)ととらえている。国連決議をテコに民主党を揺さぶろうとする政府・与党の動きに警戒しつつも、自衛隊の給油活動延長は認めない方針で今後の政局に臨む。

 また、自民側は、総裁選を見る限り、給油の「一時中断」を織り込んでいる感じだ。

テロ特措法:自民党総裁選、「給油中断」織り込み進行
 25日の新政権発足からテロ対策特別措置法の期限が切れる11月1日まで1カ月余。臨時国会の会期末は同10日。日数が足りない。現在インド洋にいる補給艦「ときわ」の一時帰国は確実だ。焦点は活動再開への与野党合意を、いつ、どうやってつくるかに移っている。

 インド洋で海上自衛隊の給油を続けるかどうかは、次期政権に突きつけられた重い課題だ。しかし、自民党総裁選はすでに「一時中断・年内再開困難」を織り込んで進行している。

 麻生太郎党幹事長「単純延長は難しくなった」

 福田康夫元官房長官「ほとんど同じ意見でして」

 麻生氏は、臨時国会での新法提出と、野党が多数の参院で否決後に衆院の3分の2で再議決するのも辞さない「最速で再開」を目指す立場だ。

 一方、優位に立つ福田氏は言いぶりが違う。

 「民主党と協調的にやるしかない。総裁選で時間を費やし、選択肢は狭まってきた」(14日)

 「新法も議論されているが民主党とよく相談する必要がある」(15日)

 「正直言って(新法の準備の)現状はわかりません」「(再議決は)最後の最後の最後。めったにない話」(16日)

 この前、「誰が首相でも、3分の2再可決しか方法はない」と書いたが、11月1日という期限への拘りさえ捨てれば、むしろ柔軟な対応をとることが可能かもしれない。国会の審議と、一時撤退の準備や根回しを並行して行い、どちらに転んでも良いようにしておくべきだろう。

 民主にとっての理想のシナリオは、「自民が11月1日に向け強行突破する」こと。自民が強行突破すれば、民主は、党としての反対の理由は曖昧なままでOKだし、「無責任政党」としての行動を晒さずに、自民を批判できるからである。

 しかし、自民も馬鹿ではないから、11月1日は諦めている模様。もし、長期戦にもつれ込んだ場合、民主党は「党としての選択」を迫られる。
  1.どこかで、何らかの形で与党と折合いをつけ、賛成に回る。
  2.あくまで、反対を貫き通す。

 そして、この「党としての選択」を、適切なタイミングで自発的に行うことが、責任政党への第一歩となろう。

 これまでの民主は無責任政党であったが故に、自ら「党としての選択」をしなくとも、与党の不祥事・自滅・強行採決などに反発すれば、立場を維持していられた。「自民が11月1日に向け強行突破する」ことは、その従来のストーリーを踏襲するのに都合が良い。

 しかし、民主党は、いまや参議院第一党、一つの院の議決を左右するまでになった。よって今後は、「党としての選択」を、明確にすることが求められる。なにしろ政権政党は、全ての法案に対して、「党としての選択」を国民に示さなくてはならないのだから、「政権準備政党」も、それに耐えられるかどうか、チェックされるのは当然だろう。

 「党としての選択」とは、自党内での論議に基づく選択のことをいう。敵方との対決から逆算された「選択」は、「党としての選択」とは言えない。

 「党としての選択」は、党が大きいほど、重いものになる。政権など有り得ない小党は、党の理念に従って機械的に選択を行えばOKだが、政権獲得の可能性のある大政党では、そうはいかない。「割れそうな法案」であっても、「党としての選択」を、責任を持って国民に示すのが「責任政党」というものだろう。

 民主党の未熟さとしては、審議拒否とか採決集団欠席などのような、目に見える部分ばかりが問題にされるが、根本的には「『党としての選択』を示す重みに耐えられない」ということがあると思う。「党としての選択」を、審議拒否とか採決集団欠席などの実力行使にすりかえている、とも言えようか。郵政選挙で民主が大敗した理由も、結局はその辺りにある。

 しかし、特措法に関しては、「党としての選択」から逃げてばかりいられない。一時的にせよ、給油活動を撤退させるか否かは、事実上、民主党の意思にかかっているのだから。もし「撤退する」となった場合、そこに起こるハレーションは、良いものも悪いものも、民主党の選択の結果、ということになる。「自衛隊は撤退しろ。でも撤退した後に起こる不都合は、自民党が解決してね」で、「責任政党」になれるとは、当の民主党も思ってはいまい。

 それにしても、参議院勝利後の最初の重要課題が、民主のアキレス腱ともいえる自衛隊問題だったとは。



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2007年09月20日(木) | 05:25:51 | トラックバック(0) | 政治

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Author:あいふる
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