「総裁選」「代表選」考

 新首相に福田氏が選ばれたが、歓迎するでもなく、悲観するでもなく。誰でもいいから、まずは国会を正常な状態に戻してくれ、話はそれからだ、というのが、国民の多数意見ではないか、と思う。

 前回書いたように、民主党は、硬直的な国会運営ばかりしていると、おそらく国民からの支持を失う。ただ、自民の側も「民主は子供だから」みたいにタカをくくって、事を急ぐと、やはり痛い目に遭う(実際、参議院では負けた)。

 自民党は、参議院では少数与党になってしまったが、与党は与党である。与党らしい、「度量の大きさ」とか「大人の対応」などを見せることが、支持の回復につながる(その意味では、年明けから選挙前にかけての安倍体制は、最悪であった)。

 また、麻生氏も敗れたが、善戦はした。敗北のコメントもノーサイド精神溢れた爽やかなものであった(実際、腹でどう思っているかは知らないが)。福田氏は、次の人事で、何らかの形で麻生氏を重用することになるのであろう。



 ま、それはともかく、今日話したいのは、福田新総裁のことではない。

 今総裁選では、両候補のパフォーマンスが入り乱れた。街頭演説をしてみたり、道路をうねり歩いて、屋台で売っている名物をおいしそうに食べてみたり。ついこの間、選挙で大惨敗したのが嘘のような盛り上がりである。

 自民党の総裁は、自民党内部のものでしかないのに、何故、両候補は、わざわざ国民向けにパフォを繰り返すのか?

 自民党が注目を浴びていることが面白くないテレビ出演者やblogなどでは、「一般国民には投票権が無いのだから、そんなの無意味だ」と言っている。もし両候補が、活動を党内部に閉じていたら、どうせ「閉鎖的だ」などと言うのだろう。

 ということで、自民党はどちらにせよ非難されるわけだが、それならば、閉鎖的なよりは、開放的なほうがずっといい。その理由。自民党側の観点からいえば、開放的なことに対する批判は、上で述べたように、「自民が注目を浴びていることが面白くない人」に大体限られるが、閉鎖的なことに対する批判は、国民全体からなされるからだ。また、国民の側からしても、結局は全国民の指導者になるわけだから、投票の経緯がよく見えるほうが望ましい。


 勿論、全てが開放的だったというつもりはない。両候補は、議員票の取り付けのために、地味に動いていた。各地方も予備投票無しで投票先を決める、なんてこともしていた。しかし、それらは逐一報道されたし、派閥が議員に対し投票先を押し付けるなんてこともなかった(福田、麻生両候補の推薦人を出している派閥が4つもある⇒ソース)。

 大体、支持を取り付けようと各議員に御願いするのは、選挙が選挙として機能している限り、当然の行動であり、むしろ、そういう活動の無い選挙のほうこそ、事前に当選者が決まっているなど、危険な要素が疑われる。また、地方幹部が投票先を会議室で決めるのは頂けないにしても、各地方が独自の考えで投票先を決めたことは、ある有力者の意向が広範囲に及んでいない、という意味では良いことである。

 こうまで、今回の総裁選を持ち上げてしまったのは、角栄が裏で総裁選を牛耳ったり、中曽根が竹下を後継指名したり、会議室の中で森が決定したり、なんて記憶があるからだ。それでも前二者は既に過去のことであるが、森内閣の支持率の低迷はまだ記憶に新しいところである。森首相は、神の国発言ばかりが強調されるが、支持率低迷の真の要因は「密室で決まった」というところに求めらるべきだと思う。自民党は安倍内閣の他、森内閣の再来も非常に恐れているので、密室での決定は絶対にNGで、オープンな形で、総裁選を行う必要があったのだ。

 で、こうやって総裁選が盛り上がった後、新総裁が決定する。新総裁も、力及ばず敗れた人も、お互いの健闘を称え合い、その後、新総裁の下に党が結束する。これほど、国民に対して良い印象を与えられる事柄も珍しい。自民党員しか選挙権の無い総裁選であるが、総裁選をオープンな形にすることは、自民党員以外からも評価されるのだ。

 以上は、自民党全体の問題であったが、個々の候補者にも、総裁選を行うならば、議員や党員にばかり目を向けるよりも、国民全体に向かって発信するほうが、結局は、票が取れる、との目算がある。

 まず、自民党員は非常に数が多いから、どっかのホールに党員を集めて講演なんかやるよりも、街頭演説をして、テレビに映してもらったほうが、ずっと効率がいい。

 また、今でこそ、自民の支持率は落ち込んでいるが、基本的には、日本で最も支持されている政党なのだから、「国民多数派の意見」と「一般自民党員の意見」は、かなり重なる部分がある。国民から支持を得られる人ほど、自民党員からの支持も得られるわけである。

 そして、各議員も、国民からの支持率をうかがいながら、自らの投票先を決める傾向にある。「国民から支持されている人がなるべきだ」という人もいるだろうし、自らの出世・保身を考えて、支持率の高い候補に入れるという人もいるだろう。国民の支持動向を全く考慮しない人もいるのだろうが、トータルでいえば、国民からの支持が高ければ、それだけ議員票でも有利になることは間違いない。小泉総裁が誕生した経緯もそうだったわけで。

 だから、両候補は、党内に閉じた活動を行う傍ら、国民へのパフォーマンスも重視したわけだ。麻生陣営は、議員票で不利だから、当然、上記の理由で国民へのパフォーマンスに熱が入る。しかし、福田陣営も、これを黙ってみているわけにはいかない。麻生氏が万単位の聴衆を前に熱弁をふるっているとき、福田氏がタカを括ってふんぞりかえっていたらどうだったろうか。

 おそらく、国民からのイメージは悪くなり、その影響で議員票/地方票は減少、落選していた可能性が高い。議員票を繋ぎ止める意味でも、福田氏もパフォーマンスをする必要はあったのだ。パフォの力自体は麻生氏のほうが上手かったが、そのことよりも、パフォをした、という事実が大切であった。

 なんか、色々書いてしまったが、要するに言いたいのは、「総裁選はオープンな形にすることが国民からも望まれており、それが自民党のためにもなる」ということ、「各候補にとっても、国民に露出するほうが、結局は党員や議員からの支持も得られる」ということの二点である。





 党の代表者の名称には、総裁、代表、党首、そして委員長(正式には代表者ではないが、事実上の代表者といってよい)などがあるが、実際には、自民党の「総裁選」と、民主党の「代表選」しか行われていない。公明党、社民党、共産党が、党員や議員からの「代表選」「党首選」「委員長選」などを行った、という話はトンと聞かない(無投票再選はあるけれども)。おそらく国民新党や新党日本が選挙を行うことも無いだろう。何故、代表選挙をしないのか。

 それは、小政党には、代表選挙をするだけの力も無いし、選挙をしなくても国民からの批判は受けないからである。

 代表者を選挙で選ぶ、というのは、思った以上にエネルギーのいることである。あなたの会社の社長は、選挙で選ばれていますか? 大抵は、役員が密室で決めた後、株主総会で拍手して本決まり、とか、そんな感じでしょう。私がこれまで経験した合唱団も、団長を選挙で決めたことは、高校の時の音楽部以外、全くない。

 選挙をやれば、団体内に対立を作り出してしまったり、或いは力量ある人が一人しかいなくて選挙のしようがなかったり。彼らを「民主的ではない」と貶すのは簡単だが、代表者を選挙で決めているなんて団体は、(政党に限らず)非常に少ないのが現状だ。逆にいえば、代表者を選挙で決める団体というのは、団体として非常に力量があるということである。政党でいえば、自民党と民主党か。

 自民党は「現在、国民を代表する政党」、民主党は「将来国民を代表する可能性のある政党」だから、代表者を、国民に見える形でオープンに決定するのは義務といってよい。密室で総裁決めてしまったり、一度選挙で決まった代表を党内のクーデターで引き摺り下ろすなんてことは、国民に対しての義務を放棄したものであろう。

 一方、小政党の場合は、代表者の決定が民主的でなくとも、誰も文句を言わない。創価学会員、護憲主義者、共産主義者、郵政造反議員支持者のためのマニアックな政党であり、「国民を代表する政党」になる可能性はゼロに近いわけだから、そんな党に文句を言ったところで始まらないのである。

 しかし、そのように甘やかされている分、彼らには「代表選挙で国民にアピールする機会」が無い。それはしょうがない。実際、それだけの力量が無いんだから。仮に代表選をしたところで、小政党に国の命運が左右されるわけでもないから、有権者の関心は極めて低いであろう。

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2007年09月23日(日) | 21:43:03 | トラックバック(0) | 政治

特措法論議で、民主党は「責任政党」へ脱皮できるか?

 これまで私は自民(ていうか安倍首相)に超厳しいことを書いてきたが、選挙も終わったし、安倍首相は辞める意向だしで、既に一段落ついた。この前の選挙では民主に入れたものの、別に私は民主支持者ではないから、いつまでも民主を甘やかす道理も無いと考える。

 そこで、今日は民主党の話をしよう。

 今後の、民主党の注目は「テロ対策特別措置法」関連だ。「え?それって自民党側の問題でないの?」と思う人もいるだろうが、そうではない。自民党よりも、民主党の対応のほうが注目なのだ。

 とはいえ、私は、次の産経主張にあるような意味で、民主党に踏み絵を迫っているのではない。


【主張】テロ特措法 国益考え責任政党の道を
 日米同盟や日本の国際的信用など、国益を考えた対応をとれないようでは、参院選で民主党を勝たせた有権者の多くが「やはり政権は任せられない」と見放すに違いない。

 産経は、「責任政党なら特措法延長に賛成すべき」と、結論から逆算してモノを書くから胡散臭いのである。「責任政党たること」と「その政策」は、関連性はあるものの、基本的には別個に考えるべき事柄である。「特措法延長に反対しつつ、責任政党として振舞う道」もある可能性もある。ていうか、民主党は、そのような道を歩むしか、選択肢は無い。

 つまり、冒頭に述べた注目点とは、「特措法延長に反対しつつ、責任政党として振舞う」ということを、如何に民主党がこなすか、なのである。

 しかし、このことの困難さは、想像に難くない。「責任政党」とは何か、様々な考えがあろうが、「反対のための反対をする」とか、「言っていることが一貫しない」とか、「党内の意見がまとまらない」とか、「審議拒否をする」とか、「採決を集団欠席」とかが、「責任ある」と見なされないことは、まず確実である。

 そこで民主党だが、まず、党内の意見がまとまっていない。前原前代表が延長に賛成っぽいのは言うまでもないが、それよりも心配なのは、「反対するにも、どのようなスタンスで反対するのか」という点が、不明瞭な点だ。

 小沢代表は「特措法は、国連決議の裏付けが無いから、延長は論外」という原理主義的な姿勢である。しかし、この前の報道2001に出演した鳩山氏は、責任政党を意識してか、柔軟な姿勢を示したのである。しかし、この喰い違いは、報道2001の他出演者に突っ込まれ、鳩山氏は全くタジタジであった。

 御存知の通り、民主党は全議員にテレビ自粛令を出している。

民主党、全議員にテレビ自粛令
 文書は「政局が揺れ動いているが、民主党の政治姿勢や政策方針にはなんら影響を与えない」とし、「メディア対応は妨げないが、政局に関することは小沢代表にお任せ頂き、政局評論などのご発言は慎まれるよう」と要請している。

 勿論、「延長の賛否」は政策の話だが、今後どう審議を進めていくかは、政局の話である。ましてや、今後、論議内容よりも政局主導で事は進んでいくだろうから、尚更、民主議員は、気楽な発言は難しくなる。

 かくの如き「議員のテレビ自粛令」の下、鳩山氏がテレビ出演したら、他の出演者から、幹部同士でのスタンスの違いを見抜かれてしまったわけだ。「こりゃダメだ」と思ったね。賛否以前の問題だよ。これから議論するのかもしれないが、あと一ヶ月半しか無いわけで。

 また、具合の悪いことに、どこの調査を見ても、延長に賛成が、反対を上回ってしまっている。

合同世論調査 海自補給、半数近く賛成
 今回の合同世論調査では、海上自衛隊によるインド洋での補給活動継続に賛成する意見が48・7%を占め、反対の39・1%を大きく上回った。前回調査では、11月1日で期限切れとなるテロ対策特別措置法の延長反対が54・6%と、賛成を約20ポイント上回っていた。臨時国会最大の焦点として注目されたことや安倍晋三首相が辞任理由として挙げたことなどから、国民の理解が深まったとみられる。
毎日新聞世論調査:海自給油継続、賛成49%・反対42%
給油継続、賛成・容認が半数=反対は35%−時事世論調査
 時事通信社が16日まとめた世論調査結果によると、海上自衛隊のインド洋での給油活動の根拠法であるテロ対策特別措置法について「延長すべきだ」とする人は13.0%で、「延長はやむを得ない」36.1%と合わせた賛成・容認派が半数近くに達した。「延長に反対」は35.3%。
 賛成・容認派にその理由をたずねたところ、延長しなかった場合の「日米関係の悪化」を懸念する意見が36.8%で最も多く、「国際社会の要請だから」が35.7%だった。「海自の活動を支持している」とした人は4.8%にとどまった。
 一方、反対の理由は、海自の活動が「国連決議に基づくものではない」ことを指摘する人が27.8%、海自の派遣に「憲法上の疑義があるから」が26.1%、活動実態や費用などの「情報公開が不十分だから」が18.8%だった。 

 賛成が多数とて、時事にあるように、多くは「容認」に過ぎないから、自民とて油断は禁物である。しかし全体的には、「延長反対」が世論だと思い込んでいたであろう民主のほうに厳しい結果である。しかも、「国連決議に基づくものではない」を挙げる人は、小沢代表が口を酸っぱくして言っているにも関わらず、27.8%ほど。国連決議云々は、保守系議員にも幅広く反対を呼びかけやすくはあるが、その分、反対理由としては抽象的でプライオリティが低いのである。だから、今後、この理由により、延長反対の世論が盛り上がることはまず無いと思う。

 長々と書いてきたが、要するに言いたいことは、民主は、反対で党がまとまるために、相当な苦労をしている、ということ。党がまとまることさえ一苦労なのに、「反対のための反対をしない」とか、「言っていることが一貫する」とか、責任政党としての行動を取れるのだろうか? 甚だ疑問である。

 一方、自民のほうは、話が楽だ(誰が総裁になっても)。党内は既に特措法延長すべしでまとまっているから(仮に反対者がいても掻き消される)、あとは国民への説明を行い、野党と話合いを求め、それがまとまらないなら、3分の2で再可決か、あるいは次善の策か、という点を考えるだけ。綱渡りの政権運営とはなろうが、方向性は明確である。

 自民は、民主に対して、次のような揺さぶりをかけているが、これも方向性が明確だからこそ。

アフガン決議案:民主の主張を逆手…政府が働きかけ
 アフガニスタンでの活動にかかわる国連決議案に日本などへの謝意が盛り込まれたのは、11月1日で期限が切れる海上自衛隊の給油活動(インド洋)を継続させる材料を得たい日本政府の働きかけがあった。活動に反対している民主党が、その根拠に「国連決議がない」を挙げているのを逆手に取った動きで、政府・与党は決議を利用して世論を喚起しつつ、民主党より優位に立とうとしている。
(中略)
 民主党は、国連決議案について「我々の考えを変えるほどのものではない」(直嶋正行政調会長)ととらえている。国連決議をテコに民主党を揺さぶろうとする政府・与党の動きに警戒しつつも、自衛隊の給油活動延長は認めない方針で今後の政局に臨む。

 また、自民側は、総裁選を見る限り、給油の「一時中断」を織り込んでいる感じだ。

テロ特措法:自民党総裁選、「給油中断」織り込み進行
 25日の新政権発足からテロ対策特別措置法の期限が切れる11月1日まで1カ月余。臨時国会の会期末は同10日。日数が足りない。現在インド洋にいる補給艦「ときわ」の一時帰国は確実だ。焦点は活動再開への与野党合意を、いつ、どうやってつくるかに移っている。

 インド洋で海上自衛隊の給油を続けるかどうかは、次期政権に突きつけられた重い課題だ。しかし、自民党総裁選はすでに「一時中断・年内再開困難」を織り込んで進行している。

 麻生太郎党幹事長「単純延長は難しくなった」

 福田康夫元官房長官「ほとんど同じ意見でして」

 麻生氏は、臨時国会での新法提出と、野党が多数の参院で否決後に衆院の3分の2で再議決するのも辞さない「最速で再開」を目指す立場だ。

 一方、優位に立つ福田氏は言いぶりが違う。

 「民主党と協調的にやるしかない。総裁選で時間を費やし、選択肢は狭まってきた」(14日)

 「新法も議論されているが民主党とよく相談する必要がある」(15日)

 「正直言って(新法の準備の)現状はわかりません」「(再議決は)最後の最後の最後。めったにない話」(16日)

 この前、「誰が首相でも、3分の2再可決しか方法はない」と書いたが、11月1日という期限への拘りさえ捨てれば、むしろ柔軟な対応をとることが可能かもしれない。国会の審議と、一時撤退の準備や根回しを並行して行い、どちらに転んでも良いようにしておくべきだろう。

 民主にとっての理想のシナリオは、「自民が11月1日に向け強行突破する」こと。自民が強行突破すれば、民主は、党としての反対の理由は曖昧なままでOKだし、「無責任政党」としての行動を晒さずに、自民を批判できるからである。

 しかし、自民も馬鹿ではないから、11月1日は諦めている模様。もし、長期戦にもつれ込んだ場合、民主党は「党としての選択」を迫られる。
  1.どこかで、何らかの形で与党と折合いをつけ、賛成に回る。
  2.あくまで、反対を貫き通す。

 そして、この「党としての選択」を、適切なタイミングで自発的に行うことが、責任政党への第一歩となろう。

 これまでの民主は無責任政党であったが故に、自ら「党としての選択」をしなくとも、与党の不祥事・自滅・強行採決などに反発すれば、立場を維持していられた。「自民が11月1日に向け強行突破する」ことは、その従来のストーリーを踏襲するのに都合が良い。

 しかし、民主党は、いまや参議院第一党、一つの院の議決を左右するまでになった。よって今後は、「党としての選択」を、明確にすることが求められる。なにしろ政権政党は、全ての法案に対して、「党としての選択」を国民に示さなくてはならないのだから、「政権準備政党」も、それに耐えられるかどうか、チェックされるのは当然だろう。

 「党としての選択」とは、自党内での論議に基づく選択のことをいう。敵方との対決から逆算された「選択」は、「党としての選択」とは言えない。

 「党としての選択」は、党が大きいほど、重いものになる。政権など有り得ない小党は、党の理念に従って機械的に選択を行えばOKだが、政権獲得の可能性のある大政党では、そうはいかない。「割れそうな法案」であっても、「党としての選択」を、責任を持って国民に示すのが「責任政党」というものだろう。

 民主党の未熟さとしては、審議拒否とか採決集団欠席などのような、目に見える部分ばかりが問題にされるが、根本的には「『党としての選択』を示す重みに耐えられない」ということがあると思う。「党としての選択」を、審議拒否とか採決集団欠席などの実力行使にすりかえている、とも言えようか。郵政選挙で民主が大敗した理由も、結局はその辺りにある。

 しかし、特措法に関しては、「党としての選択」から逃げてばかりいられない。一時的にせよ、給油活動を撤退させるか否かは、事実上、民主党の意思にかかっているのだから。もし「撤退する」となった場合、そこに起こるハレーションは、良いものも悪いものも、民主党の選択の結果、ということになる。「自衛隊は撤退しろ。でも撤退した後に起こる不都合は、自民党が解決してね」で、「責任政党」になれるとは、当の民主党も思ってはいまい。

 それにしても、参議院勝利後の最初の重要課題が、民主のアキレス腱ともいえる自衛隊問題だったとは。



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2007年09月20日(木) | 05:25:51 | トラックバック(0) | 政治

次期総裁選・2

 今朝のテレビの世論調査によれば、自民党議員のみならず、国民までもが、福田氏支持に流れているらしい。私も、前回、「私も福田氏でいいんじゃないかな」などと書いた。つい、一週間前までは、麻生有利だったにも関わらず。この違いは、一体何なのか。

 私に関して言えば、次の点で福田氏を買っている。

 一つ目は、官房長官時代の実績。いかにも実務派、という感じがする。
 二つ目は、安定感。逆に言えば、麻生氏のように危なっかしい印象が無い(あくまで印象論だけどね)。

 そして、三つ目。

 結構、この人は、民主党の小沢代表のような狡猾さがあるような気がする。

 以下に述べることは、大幅な想像が混じる。

 総理就任を全く考えてなかった無い人が、安倍氏の電撃退陣表明から、たったの1日2日で、出馬表明をするなんて、有り得まい。福田氏は、本人の口からそう言わないけれども、実は狙ってたと思う。

 でも、前回の総裁選では出馬しなかった。のみならず、小泉内閣の最後の改造でも、福田氏は閣僚や党役職にはならなかった。小泉首相は、ポスト小泉を、内閣や党役職の働きぶりにより競わせていたにも関わらず、だ。

 これ、私は、小泉首相が福田氏を捨てたのではなく、福田氏のほうから断ったのだ、と見ている。何故か? それは、同じ森派(町村派)の安倍氏に対立するのは無駄だと考えたから。どうせ、安倍氏には勝てない。出るのなら、勝ち目のある勝負に出るべし。そう考えていたのではないか。

 で、実際に安倍氏が電撃退陣を表明すると、町村派の有力候補は自分一人(町村会長は総裁候補で話題になることはほとんどない)、安倍氏は消えた……となれば、総裁選に勝てる。そう睨んだのではないか。

 何度も党トップに名前が上がりながら立候補せず、絶対に勝てる状況になって、初めて立候補する。そういう行動パターンが、小沢氏に似ているような気がしたのである。




 麻生氏は「タカ派」、福田氏は「ハト派」と言われている。多分、そうなのだと思うが、今は、「タカ派」「ハト派」の括りが、あまり意味をなさない感じがしている。自民党外交として対立軸になり得るのは、前回も述べた通り、北朝鮮・拉致問題だけだからだ。

 その北朝鮮問題も今、膠着状態にあるしねぇ。今までのやり方で駄目なら、別の方策を考えなくてはいけないんじゃないの?という気はしている。家族会やその支援者は「安倍首相が選挙に負けて、金正日が笑っている」なんて批判するけれども、あくまで目的は「被害者の帰還」であって、「金正日に毅然とした態度をとる」とか「北朝鮮との国交を阻止する」ことではない。手段と目的が逆転しているか、ひたすら強硬に出ることが問題を解決する唯一つの手段だと思い込んでいるのかはしらないが、ここ数年間、実績が無いのは事実だしねぇ。コマーシャルなんか作っている暇なんか無いだろ(制作・放映費が1億円だそうだ)。

 あと、憲法改正問題も、自民党側が一方的に悪いイメージを負うような形で、国民投票法案を強硬採決しちゃったものだから、暗礁に乗り上げている。参議院選挙で、憲法問題はプライオリティが低い、ということになってしまった。どうせ誰がなったって、当分は改正できっこないんだから、この点でも、タカ派ハト派を持ち出す必要性が無い。

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2007年09月17日(月) | 21:23:32 | トラックバック(0) | 政治

安倍辞任・次期総裁選

 昼休み終わらんとする時、職場のテレビで「安倍首相が辞意を表明」と伝え、あまりの唐突さにのけぞった。テレビは昼休み終了後も5分間はつけっぱなしになり、情報の確かさを確認した。

 参議院後、私は、以下のように述べた。


 一方で、安倍氏は、続投する気マンマン。今の時点で安倍氏が退陣していないのなら、もう、退陣するのは、総選挙で負けたときしかないと思う。

 ただ、自民党内には、解散を恐れる雰囲気が充満している、という。議席を減らすのは明らかだし、300議席と強行採決の反動で、議席減の幅はかなり大きくなりそうである。だから、安倍氏を、ニッチもサッチもいかないような状況に追い込むことは考えにくい。そんなことしたら、マジで解散してしまうから。小泉前首相の手法を、未熟な形で受け継いでいるわけだから、そこは保証していい。

 紆余曲折はあるももの、最終的には、筋書き通り、内閣改造は行われ、しばらくは安倍政権が続く。

 ただ、マスコミがこのまま黙っているかというと、そんなことはありえない。新内閣に対し、スキャンダル探しをするに決まっている。スキのある人にはどんどんつけ込んでくるのがマスコミの性なのだから。

 このとき、「探しても探してもスキャンダルは見つからなかった」というのが、一番良いが、どうも安倍さんは状況を自分の都合の良いように解釈する悪弊があるから、身の上調査も甘いものとなり、結局はスキャンダルが出てきてしまうとみる(或いはマスコミが半ばでっちあげる)。このとき、安倍首相はいかに対応するかが、鍵となる。民主党は参議院の国政調査権・証人喚問などのカードを持っているから、これまでのような「法律に則ってちゃんとやってます」では済まなくなる。マジで「お友達」ではなく、あるべき対応を助言してくれる「ブレーン」が必要となる。そういう組閣をできるかどうかが勝負。特に、官房長官には経験豊かな古株を置くべきだろう(福田再登板も悪くない)。

 結局、次の内閣改造の結果が、安倍政権の死命を決することになる。これが悪いと、結局は同じ問題が起きて内閣は死に体になる。そうしたら、さすがに自民党議員も解散を覚悟する。逆に、人事が上手くいけば、しばらくは持ちこたえることができ、任期間近まで解散は行われない(国民からの支持を得られるかは知らんが)。

 う〜ん、当たった部分とそうでない部分があるな。結局、改造後の内閣でもスキャンダル出まくりなのは当たった。スキャンダルに耐えられなければ、内閣は長くないのも当たった。官房長官に古参がなったのも当たった。

 でも、ここまでポッキリいってしまうとは、思いもしませんでした。スキャンダルで一人辞めた後、国会開会直前に辞めてしまうなんて…(しかも解散ではなく辞職)。

 私は、特措法の期限が切れる直前あたりが山場だと睨んでいたんですがね。


◇      ◇      ◇      ◇


 辞任の理由・キッカケに「小沢さんが会談に応じなかった」ことが挙げられているが、他人を持ち出して、自分の立場を述べるクセは相変わらずだな、と思う。拉致問題に対する功績は認めるものの、あのとき、シンガンス関連で菅氏を攻撃した旨味が忘れられないのかもしれぬ。与党で首相をするよりも、少数野党の党首に向いているタイプだったような気がする。

◇      ◇      ◇      ◇


 どうも、新たな総裁選は、麻生氏と福田氏の一騎打ちで決まりらしい。しかも、福田氏優勢らしい。私も福田氏でいいんじゃないかな、と思う。

 読売は、社説で自民党総裁選 政策と資質を見極めるべきだと述べている。しかし、今回の総裁選に関する限り、政策などどうでもいい。資質のみが問題にさるべきである。そうすると、福田氏のほうが有利だろうな、と思う。

 「政策などどうでもいい」と書いた。私は大手新聞ではないから、いちいち綺麗事を並べる必然性など感じないのである。

 ただ、これは「政策を疎かにしろ」ということではない。自民党がやらねばならぬ課題は既に決まっているのだから、政策は大きな論点にならず、課題解決能力があるかどうかが焦点、という意味である。

 その課題とは

 <内政>
  1.改革を進めること
  2.改革の影に光をあてること
  3.年金/医療など福祉の建て直し
  4.税制改革

 <外交>
  4.自衛隊国際貢献関連
  5.北朝鮮拉致問題関連
  6.中国に毅然とした態度をとりつつ、友好関係も保つ

 といった感じで、特に自民党として方針変更が必要なものは、無い筈である。

 ただ、その中で論争がありそうなのは、5番の北朝鮮関連。膠着したまま強くつっぱねるのか、交渉再開のためにこちらが折れるべきか。ステレオタイプな見方をするならば、麻生氏なら前者、福田氏なら後者となるのだろうか。

 また4番の税制改革は、消費税の扱いが最大の焦点になる。この点に関しては議論が可能だが、所詮は各論の話である。


 あと、勘違いされそうなのが、1番と2番の関係。自民が参議院惨敗したことで生れた勘違いが「国民は小泉改革を否定した」というもの。郵政選挙の結果に我慢ならぬ人達が、大惨敗を「無かったことにしたい」と思いたいがため、安倍首相の敗北を、そのまま小泉氏にまで拡張したものであろう。

 しかし、安倍首相の支持率推移をちゃんと見据えていれば、そんなことはありえないことがわかる。安倍首相は小泉氏の後継者と見られたからこそ、最初の支持率が高かったし、以降の支持率下落は、造反議員の復党、閣僚の不祥事、年金問題の対応ミスをキッカケとして引き起こされたことは明らか。「改革の影」の影響は、かなり重く見積もっても、一人区でいくつか議席を持っていかれた、という程度のものであろう。

 つまり、国民の多数は、改革には賛成である。しかし一方で、改革により生れた影には光をあてたり、セーフティネットを構築することなどもやって欲しい。そういうことなのであって、日本の体制を小泉以前に戻すことが望まれているわけではないのである。

 で、現在の自民党議員の大多数は「改革」を掲げて勝利しているわけだから、1番をチャラにすることはありえない。ただ、2番について、これまで軽視されがちだったから、そっちもちゃんとやっていきましょう、という話。この辺が、改革自体を否定する国民新党などとは一線を画す部分である。


 勿論、細かいところでは色々考え方の違いもあろうが、大筋ではまとまっていると思われる(参議院選の総括もしているわけだし)ので、そこから先の政策議論は、各論に入ってからでも充分に間に合う。むしろ、今は、自民党の危機なのであるから、「首相の資質」のほうが大きくものをいうのである。また、自衛隊国際貢献関連は、誰が首相でも、3分の2再可決しか方法はないわけだが、いかに再可決を上手くやるか、という点でも「首相の資質」は大切な問題である。

 福田氏に関しては、また今後。

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2007年09月15日(土) | 11:54:34 | トラックバック(0) | 政治

部屋の片付け・不用品の処分を行った

 今日はつまらない話です。

 更新の日があいてしまいました。この間、何をやっていたかというと、それは部屋の片付け・掃除です。最近、家にいるときには、ほとんどそれらに専念している状態なので、マスコミのチェックは皆無に等しく、気が付いたら、とうの昔に内閣改造が終わり、辞任者まで出ている有様でした。

 最近、「片付けられない女」とか、「ゴミ屋敷を綺麗に片付けする企画」などが、テレビでよく放映されています。私も「片付けられない男」でした。でも、「これではいけない!」と先月突然思い立ち、以降、片付けてばっかりなのです。

 片付けて片付けて片付けて……どうやら山は越えました。以前に比べると、天国のよう。




 一応、私自身の名誉があるので、付け加えるが、以前の部屋も、テレビでやっているような、途方もないゴミ屋敷ではなかった。しかし、それでも部屋には本や紙が散乱し、ペットボトルが出窓に置きっぱなしで、汚い部屋だった。そこでチマチマと片付けをしていたら、「捨てる!」技術を発掘。


 これは、6〜7年くらい前のベストセラー。「モノを捨てなきゃ、部屋の片付けなどできない」という単純な主張を繰返しているだけで、何故、あの時の私はこんな本を買ってしまったのか不思議になる(しかも続編の「暮らす!」技術まで買っている)。

 しかし、である。このしょうもない(…と思われた)本が、今や、私のバイブルとなってしまった。読み終えると同時に、私は怒涛の勢いで捨て始めたのだ。「片付けている」というよりは「捨てている」というほうが近い。ものの弾みというのは恐ろしいものである。

【既に捨てたもの・捨てる態勢が整っているもの】

 ・本 数百冊(正式にはブックオフ・宅本便
 ・ダンボール類
 ・書類 数百枚以上
 ・掃除機2台
 ・ビデオデッキ2台
 ・パソコン3台(デスクトップ2、ノート1)
 ・ソファー
 ・スーツケース
 ・布団×4
 ・電気カーペット
 ・机の抽き出し
 ・戸棚の開き戸
 ・パソコンラック(分解済み)
 ・最近着ていない衣類全て
 (シャツ、コート、ズボン、ジャンパー、ネクタイなど)
 ・靴は4足残して全て(10足以上捨てた)
 ・マンドリン
 ・キーボード(楽器)
 ・1000ピースのジグゾーの枠入り完成品×3、500ピース×2
 ・食器・瀬戸物⇒一部を除いて全て処分
 ・古い食糧、調味料
 ・組み立て式ワゴン
 ・整理用抽き出し
 ・隙間用の抽き出し
 ・大量のケーブル類
 ・その他、燃えるゴミ 数十袋 & 燃えないゴミ 数十袋

 ゴミの日は、毎回、自宅とごみ捨て場を何往復もしている。また、これ以外にも、捨てる準備は出来ていないが、まだまだ捨てたいものがある。これらが、狭き1Kに収まっていたのだから全く驚きだ。

 ただ、これは私個人の特別な事情なのだろうか? おそらく違う。上記のような廃棄物は、普段、見えないところに追いやられているから気付かないだけで、本気になって不要物を処分しようと思えば、このくらいは出てくるのが普通ではないかと思う。



 上記の廃棄物リストの注目は、「組み立て式ワゴン」「抽き出し」など、収納用具でさえも捨てている、という点だ。

 収納用具は、収納スペースを増やしてくれるんだから、これで片付け・整理整頓は解決するかのような錯覚を起こす。

 しかし、そこが落とし穴なのである。

 収納スペースを増やしたら増やしただけ、モノは増え続けるからである。

 根本的な解決をするには、人間の意識と行動を変えなければならないのである。

 お金を貯めようとして、アルバイトで小金を稼ぐより、無駄遣いをやめることのほうが先決であることに、似ている。




 それでは、部屋を片付けるための「人間の意識と行動」とは何だろうか? それは以下の2点に集約されると思う。

 1.個々のモノの置き場所を決め、使ったら、その置き場所へ戻す。

 2.モノを無駄に溜め込まない
   ・不要なモノは買わない
   ・不要になったモノ、あるいはゴミは、その都度捨てる


 言い換えれば、1番は「モノは管理すべし」、2番は「管理できない量のモノは持つな」ということである。キチンと片付けられている人には全く当たり前のことでも、私のようなぐうたらな人間にとっては、途方もなく難しいことなのである。



 『「捨てる!」技術』の大半は、「捨てるためにどのような発想・行動をしたらよいか」ということに割かれているが、私が感動したのは、それ前の「ものが散らかるメカニズム」のようなことが書いてある部分である。

 モノがちらかるのは、収納の方法に問題があるのではない。収納の容量が足りないからでもない。

 どんなに収納の方を改めたって、「捨てる」ことがなければ、モノは収納スペースギリギリまで増え続け、やがて、溢れてモノがちらかるのである。

 まぁ言われてみれば、当たり前の話である。しかし、本当に「当たり前」だったら、100万部も売れない。結局、その「当たり前」の発想に引っ掛かるものがあったり、あるいは、発想はしても実行に移せなかったり、ということがあるから、当時ベストセラーになったのであろう。


 「捨てられない人」には、おそらく2タイプある。「勿体無くてモノが捨てられない」タイプと、「面倒くさくてモノが捨てられない」タイプ。私は後者だから、一度火がつくと、本の助けなど借りずに、徹底的にやれる。前者のタイプは、発想の転換が必要であり、そのために、『「捨てる!」技術』は有用となり得る。


 本の内容を書き写すのは大変だから、次のページをリンクしておく。

 『捨てる技術!』で、憩いのわが家を手に入れる(前編)
 『捨てる技術!』で、憩いのわが家を手に入れる(後編)


 7年も前の本の紹介をしてしまった…。




 こうして、不用品を大量処分すると、モノは減るし、収納スペースは空くしで、以降の片付けが圧倒的に楽になる。なかなか部屋が片付かない、という人は、まず片付けることよりも先に、不用品の処分からはじめたほうがよいのではないか。


2007年09月03日(月) | 23:41:51 | トラックバック(0) | 出来事

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