安倍首相は辞めるべきか?

 安倍首相が退陣するだのしないだの、騷ぎになっている。私は、「安倍氏、自民党の決定次第」だと思っている。彼らが退陣不要と考えるのなら、そのまま行けばよいし、ダメなら退陣すればよい。

 でも、これは、安倍氏を擁護しているわけでは決ない。
 「参議院選挙は政権選択選挙じゃないんだから辞める必要はない」
 「マスコミの一時期の煽りで、首相を代えるなんてとんでもないこと」
なんてことを考えているわけでもない。

 確かに、参議院選挙は政権選択選挙ではないから、法律的に退陣が迫られる、というものではなかろう。しかし、「総選挙で負けたわけではないから、首相は退陣すべきではない」という理屈は、おかしくないか? 憲法上には、内閣総辞職や首班指名の条文があれども、それ以外のケースでの首相退陣を禁ずるものではない。退陣が必要なら退陣すればよいし、そうでないなら居座ればよい。

 そこで、マスコミの登場。基本的に自民党は、マスコミによる退陣圧力を望ましくないものだと思っている。自党の主張が通らないのは、マスコミのせいだとも思っている。だから、敢えて居座りを決め込むのは、マスコミに対する暗黙の強がり、という側面もあるのではないか。口にこそ出さないが、「本来政権とは関係無い参議院選挙を、マスコミに屈する形で退陣してしまってはダメだ。首相をやりぬくんだ!」というふうに、思っていそうである。

 まあ、それもよかろう。法的には、退陣する義務はない。このまま、政権運営を立て直し、次回の総選挙で与党が過半数とれる、と思うのなら、それも一つの道だ。次回の選挙で「新しい民意」を掴み取ることができれば、今回の「古い民意」は、脇に置かれることになるのだから。

 ただ、問題は、安倍さんで、それができるのか?というところ。今までのメタメタな政権運営を見る限り、現在の最高に難しい局面を立て直す技量があるとは、到底考えられない。野党の「辞めるべきだ」という言葉に真剣みが感じられないのは、「このまま安倍でいってくれれば、次回の総選挙もイタダキだ。ヒヒヒヒヒ…」と考えているからであろう。

 一時は、続投でまとまりかけていたけれど、自民の衆議院議員にとって「明日は我が身」だから、やはり不満は噴出しているみたい。


衆院選前の退陣論浮上 首相、選挙の「顔」失格?
 自民党で2日、参院選惨敗を受けた安倍晋三首相(党総裁)の対応をめぐり、当面は続投を容認するものの、党の「顔」を代えないと「衆院選は戦えない」(閣僚経験者)として、次の衆院選前の退陣は避けられないとの見方が浮上した。
ざわつく自民 農水相の更迭…安倍降ろしの動きも 「人心一新」先送りが誘発 参院選の自民党大敗北の一因となった赤城徳彦前農水相の更迭劇は、党内の混乱に拍車をかけている。安倍晋三首相に早期退陣を迫る「安倍降ろし」の動きも浮上しており、「ポスト安倍」とされる福田康夫元官房長官や麻生太郎外相の周辺もざわついてきた。内閣改造・党役員人事が9月1日前後に先延ばしされたことが遠因で、人心を一新しても果たしてそれでこの局面をしのげるかどうか、首相は極めて厳しい状況に置かれている。

 今回の敗北は、自民党全体の問題も少しはある(地方組織の基盤低下など)。しかし、安倍首相の政権運営の問題のほうがずっと大きい。実際、去年の末までは内閣支持率も自民党支持率も非常に高くて、与党過半数は余裕に思われたのに、今年に入ってここまで低下したのは、ひとえに、安倍首相の政権運営がダメだったからである。

 「年金問題は安倍以前からあったではないか」と言われるかもしれないが、支持率の低下は、むしろ、発覚後の党幹部や内閣の対応が、お粗末だったため。閣僚の失言やカネの問題でも、そもそもそんな人達を任命したのが悪いし、発覚後も対応が後手に回った。一回ならともかく、短期間に五回も六回も、そんなシーンを見せられては、有権者から「こりゃあかん」と思われて当然。

 このような見方は、安倍氏にシンパシーを抱く人にとっては、到底受け入れられないだろう。しかし、連立与党の一角たる公明党や、自民党の落選者などは、怒りの矛先を、安倍首相に向けたい気持ちで一杯だと思われる(実際に向けられるかどうかは、その時の情勢次第だが)。

 安倍氏周辺以外はみんな問題が見えているのに、安倍氏周辺だけが問題として取り上げずに、事態をより悪化させる、というパターンが多すぎた。安倍氏の対応能力が問題になるのは当然なのである。

国民の目線とずれ…自民「参院選総括委」が初会合
 そのうえで、敗因として年金記録漏れ問題、「政治とカネ」の問題、閣僚の失言などが「国民の目線」とずれ、「党支持層に政府・与党の危機管理能力、統治能力に対する疑問を生じさせた」との見方を示した。

 こんなことを、今頃総括しているんだから、呆れてしまう。もう何ヶ月も前から、安倍内閣がズレていることぐらい、さんざんマスコミが教えてくれていただろうに、それを無視して突っ走ったのは誰なんだ? 負けてから総括したって遅いでしょうに。



 ハッキリ言って、今回、自民党が大敗した理由は、究極的には唯一つに集約される。

 「安倍首相に指導者としての資質がなかった」

何回か前に書いたが、指導者としての資質とは、「状況に応じて適切な方向性を示していくこと」。すなわち、「判断力」と「統率力」。これらが欠けていれば、他がどんなによくても、指導者としては駄目なのである。

 年金問題、政治のカネと、個別のテーマを問題にしている限り、「安倍首相は、運が悪かった」とか「マスコミが煽ったから」となってしまうし、安倍首相や自民党のシンパはそう考えたいかもしれない。しかし、真の敗因を分析しない限りは、次回の総選挙で勝利することはおぼつかない。本当に自民党のことを思うなら、自民党内部の理由に目を向けなくてはならない。まず、責任を他に求める姿勢から改めよ。

テーマ:参院選 - ジャンル:政治・経済

2007年08月02日(木) | 22:34:42 | トラックバック(0) | 政治

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