最低賃金が1000円(千円)にアップ?

 当blogは、厚生労働方面で政府を批判することを専門にするつもりはなかったんだけど、どうも、柳沢さんをはじめとする自民党があまりにもダメなので(別に民主がいいと言っているわけではない)、そっちの話ばかりになってしまいますね。

 本日のお題は次の記事


最低賃金1000円以上に 民主、格差是正法案を来月提出
 民主党が今国会に提出する格差是正緊急措置法案の骨子が十六日、明らかになった。雇用や福祉面での格差是正策が柱で、パート労働者と正社員の差別的待遇の禁止など六項目の緊急措置を実施するための関係法令の改正を明記した。三月初めに法案として提出する。

 最低賃金は、現行の全国平均六百七十三円では生活保護水準以下の暮らししかできない「ワーキングプア」の問題も指摘されているため、千円以上への引き上げを図る。

「そんなことできっこないぢゃ〜ん」というのはナシ。「労働ダンピング」が当たり前になってしまうと、本来、あるべき状態のほうが異常に見えてしまうのです。しかし、本当に労働条件の改善を図ろうとするのなら、「今の状態こそが異常なのだ」と捉え直すことが大事です。

 ま、それはともかくとして。

 本題に入る前に、以前、自民党が盛んにしていた主張を取り上げます。

最低賃金1000円以上に 民主、格差是正法案を来月提出
「そうは言っても、景気回復は一部の大企業だけ。オレたちにはその実感はこれっぽちもないよ」私の友人の商店主はそう言います。そのとおりだと思いますが、景気は飛行機が離陸するときと同じで、まず前輪(大企業)が浮上し、それに引っ張られて後輪(中小企業)があがる−という理論もあります。景気回復を中小企業へ、そして地方へ広げる。これが、今、私たち政治家の最大・緊急の課題です。

私は、この飛行機の前輪・後輪理論自体は間違っていないと思う。そして多分、前輪は既に上ってきている状態です。実際、自民党は「いざなぎ景気を超える好景気なんですよ」と宣伝しています。

 だから、そろそろ後輪(中小企業だけでなく労働者も)も上げるべきなんです。しかし、前輪は、ほとんど聞く耳を持ちません。

賃上げ春闘、今年は激化 業績好調×厳しい競争
戦後最長の景気拡大や好調な企業業績を背景に労組側は、「昨年を上回る賃金改善」を目指している。これに対し、経営側は国際競争力の激化などを理由に、固定的なコストアップ要因となる賃上げには慎重な姿勢を崩していない。「家計」への恩恵の波及を求める声が広がるなか、例年以上に激しい攻防が繰り広げられるのは必至だ。
「賃上げ」か「設備投資」か…団塊退職で浮く費用
 経団連の御手洗会長は首脳懇談会で、「(企業業績回復の)成果は設備投資に投入している。国際競争力の維持に必要だ」などと述べた。

こんなことをしていたら、前輪が上がりきって、機体が垂直になり、共倒れしてしまいますよ。

 儲けた金を経営側がここまで頑なに人件費に回さないのなら、行政が介入して、強制的に労働側に分配するしかないと思います。なので、上の最低賃金引き上げは、(額はともかくとして)基本的にはやるべきでしょう。

 一社だけ賃金アップしても、その会社が不利になるだけですが、法律で強制すれば、会社間の相対的な競争条件は変えずに、低賃金労働者へ金を回すことができ、消費に回って内需にも貢献します。

 ただ、問題があるとすれば、地方や中小企業が時給千円に耐えられるか、という点。どうしてもヤバいというのなら、地方や中小企業は別扱いしてもよい。いきなり1000円が大変なら、段階的にでもよい。

 ただ、時給が700円が1000円になったところで、一日8時間労働で一人頭2400円増、月22日労働で52800円増。以前もサービス残業のところで書きましたが(ここ)、人を雇うぐらいの規模がある会社で、最低賃金レベルに限定した労働者の給料(決して全従業員対象ではない)を、この程度もアップさせることができないところは、早々に潰れてもらって、そこで空いた市場に優良な会社がきて真っ当な雇用を行ってもらうべきだと思います。

(ただ、それはそれとして、中小への支援はやってもいいかな。特に、大企業が下請け中小から搾り取っている構造は変えるべき)。

 フリーターや学生アルバイト、ワーキングプアの月給が52800円増えたら、結構インパクトは大きいでしょう。同じ52800円でも、金持ちの元で腐らせておくより、貧乏な人の生活が楽になって、消費に回してもらえば好都合です。。若干インフレするかもしれないけど、むしろこれまでの乾いた雑巾を無理矢理絞るようなコストダウンのほうが異常だったわけで。

 しかし、ここでも気になるのが、経営側の悪どさ。時給が増えた分、サービス残業に回して、結局もらえる賃金は変わらない、とかありそうです。

あいふる世相ダイアリー(2003/11/28)
 一方、経営側に理解を示して「会社だって大変なんだし…」などという人もいる。言った本人は大人のコメントのつもりだろうけど、サービス残業を社会が許容する、というのがいかに危険なことかわかっていないと思う。一旦サービス残業の味をしめてしまった会社は、多分、業績が上向きになっても、社員をサービス残業から解放するなんてことにはならない。給料払わなくても、誰からもお咎めを受けない状態がそこにあれば、給料を払うのが馬鹿らしくなるからだ。そういう風潮を固定化してしまうと、いくら会社が栄えたところで、「日本人」は不幸になるばかり。

 このようなことを許さないために、まずは、現行法律で監督を厳しくするべきなのですが、少なくとも与党には全く期待できません。
 『参議院インターネットの審議中継』 共産小池 VS 『総理大臣』&『厚生労働大臣』

 内容はサビ残でなく派遣契約ですが、柳沢大臣の背後から「監督なんてやる気無いよオーラ」が出まくっています。何で厚生労働大臣がここまで無関心になれる?と不思議になってしまうほどの無関心。これじゃあ、企業の監督なんて夢のまた夢。

→続きはこちらへ 最低賃金について・2


追記です。

 つまり、最低賃金のアップというのは、労働力ダンピングの解消に向けた提案なんです。
 
 誰でも出来る内容のバイトが、現状、時給700円だからって、その常識にとらわれて、

 「時給1000円は高い! 時給700円程度の仕事しかできない人の行き場がなくなる! 時給1000円欲しいんだったらもっとスキルを身につければいくらでもある!」

なんていうのは愚かです。時給700円という「常識」を変えるのが目的なんですから。これまで時給1000円だった仕事は1200〜1300円くらいが、新しい常識になるでしょうね。

 また、「もっとスキルを身につければ、時給1000円の仕事くらいある」といいますが、みんながそのスキルを身につけてしまえば、当然、その価値は暴落します(現状、パソコン関連の技能がそうです)。自らスキルをアップするのはミクロ的にはよいですけど、それのみが給料アップの方法だとしてしまっては、経営者側に、せっかくのスキルを安く買い叩く口実を与えてしまいます。労働者側に要求されるスキルはますます高くなり、それを満たさねば、生活保護水準を維持できるだけの仕事にもありつけない…それは地獄ではないですか?

 あと「誰でもできる仕事」といいますけど、仕事はやはり大変なものだし、その人達がいなければ商売が成り立たない。スーパーのレジ打ちもそう。(いくら下がってきているとはいえ)一日百万単位で売り上げがあるんだから、時間当たり一人頭・鷄肉一パック分程度は、パート労働者の給与アップに回すべきです。

2007年02月18日(日) | 20:06:08 | トラックバック(0) | 社会

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